石綿障害予防規則においては、第3条第1項において、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。)の解体、改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下、「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。と定められています。
そして、令和5年10月1日からは、建築物に係るものについては、上記の事前調査を適切に実施させるために、必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定める者に行わせなければならないとされており、この資格を有する者は、一般建築物石綿含有建材調査者及び特定建築物石綿含有建材調査者とされています。
このようななかで、令和8年1月1日から、次に掲げるような特定工作物等についても、解体・改修作業を行う際には、建築物と同じように、石綿等の使用の有無の事前調査を適切に実施させるために、必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定める者に行わせなければならないとされました。
すなわち、工作物については、現在は、石綿の有無についての事前調査を行う者について資格は必要ありませんが、令和8年1月1日以降は、「工作物石綿事前調査者」という資格を有している者でないと、石綿の有無についての事前調査を行ってはならないことになります。
資格を有する者でないと事前調査を行ってならない工作物
(特定工作物等)
① 特定工作物(新たな資格である「工作物石綿事前調査者」が必要)
○炉(反応層、加熱炉、ボイラー・圧力容器、焼却設備)
○電気設備(発電設備配電設備、変電設備、送電設備)
○配管及び貯蔵設備(炉設備等と連結して使用される高圧配管、下水管、農業 用パイプライン及び貯蔵設備)ただし、上下水道を除く。
「注」建築設備(建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、排煙又は汚水処理の設備等)に該当するものは工作物ではなく、建築物の一部。
②,③については、新たな資格である「工作物石綿事前調査者」の他一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者のいずれかの資格が必要。
② 特定工作物として、次の建築物一体設備等の
○煙突、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛り土保護パネル、鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井版(建設物(建屋)に付属している土木構造物)
「注」建築設備系配管(建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備の配管)は建築物の一部。
③ 特定工作物以外の工作物
○塗料その他の石綿が使用されているおそれがある材料を除去等の作業、(塗料の剥離のほか、モルタル及びコンクリート補修材(シーリング材、パテ、接着剤等)の除去などの作業)